ペット亡くなった時にすること|見落としがちな手続きと順番

直後

大切な家族が旅立った直後、何をすればよいのか頭が真っ白になる。そんな経験をした飼い主さんは少なくありません。ペットが亡くなった時にすることは、安置・火葬・供養・手続きと大きく4つの段階に分かれます。

ただ、悲しみのなかで「どれを先にやるか」「自治体への届け出は必要か」と迷ってしまいやすいのも事実です。特に犬を飼っていた方は、法律に基づいた手続きが必要なため、後回しにしすぎると困る場面も出てきます。

この記事では、ペットが亡くなった直後からやるべきことを順番に整理しています。一度確認しておくだけで、もしもの時に落ち着いて動きやすくなります。ゆっくりお読みください。

ペットが亡くなった時にまずやること――遺体の処置と安置

亡くなった直後にまず取り組むのが、遺体の処置と安置です。時間的な制約があるため、手順を事前に知っておくだけで、落ち着いて対応しやすくなります。ここでは安置の流れと、最低限準備しておきたいものを整理します。

死後硬直が始まる前に体勢を整える

犬や猫は、亡くなってからおよそ2時間程度で死後硬直が始まるといわれています。硬直が始まると体勢を変えることが難しくなり、棺や火葬炉に納めにくくなる場合があります。

手足を優しく体の内側へ寄せ、眠っているような自然な姿に整えてあげるとよいでしょう。目が開いていれば、まぶたをそっと閉じてあげてください。口元が開いている場合はタオルで軽く押さえて固定します。

無理に体を動かそうとすると、関節や骨に負担がかかることがあります。硬直がすでに始まっている場合は、そのままの状態で安置することも選択肢のひとつです。

保冷剤と段ボールで安置場所を整える

安置に必要なものは、段ボール箱、バスタオルまたは毛布、ペットシーツ、保冷剤(またはビニール袋に入れた氷)です。いずれも自宅にあるもので対応できます。

箱の底にペットシーツを敷き、その上にバスタオルを重ねて寝かせます。お腹と背中を中心に保冷剤をタオルで包んで当てると、遺体の腐敗を遅らせることができます。保冷剤が直接肌に触れないよう、必ずタオルで包んでから使いましょう。

夏場は室温が高く傷みが早まることがあります。エアコンで室温を下げたうえで、保冷剤を定期的に取り替えるとより安心です。

清拭でお別れの準備をする

ペットが亡くなった後の手続きのイメージ

安置の前後に、遺体を清潔に整えるエンゼルケア(清拭)を行う方も多くいます。ぬるま湯で湿らせた清潔なタオルを使い、目や鼻まわり、体全体を優しく拭いていきます。

体液が出ている箇所はティッシュやガーゼで先に拭き取り、その後で清拭を進めるとスムーズです。処置の際はゴム手袋を着用し、終わった後は手を丁寧に洗いましょう。

生前好きだったおもちゃや花、好物を一緒に供えてあげると、お別れの場を整えやすくなります。毛のカットや肉球のスタンプを取る場合は、火葬前のこの時間が最後のタイミングです。

【安置の準備物チェック】
・段ボール箱(ペットが入るサイズ)
・ペットシーツ、バスタオルまたは毛布
・保冷剤(またはビニール袋に入れた氷)
・ゴム手袋、清潔なタオルやガーゼ
・好きだったおもちゃや花(お供え用)
  • 亡くなって2時間程度で死後硬直が始まるため、体勢は早めに整える
  • 保冷剤はタオルで包んでからお腹・背中に当てる
  • 夏場は室温管理も合わせて行う
  • 清拭やスタンプ採取など、できることは火葬前に済ませる
  • 硬直が始まっている場合は無理に動かさない

火葬方法を選ぶ――3つの選択肢と費用の目安

遺体の安置が落ち着いたら、次に火葬の方法を選ぶ段階に入ります。火葬には大きく分けて3つの選択肢があり、返骨の有無や費用、進め方がそれぞれ異なります。家族で話し合いながら、後悔のない選択をするための判断材料を整理します。

合同火葬(自治体または業者)

合同火葬は、複数のペットを一緒に火葬する方法です。費用を抑えやすい反面、遺骨を個別に返骨することはできません。「お骨をどうしても手元に残したい」という場合には向いていません。

自治体が運営する公営の合同火葬サービスを利用できる地域もあります。費用や申込み方法は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村の担当窓口(環境・生活衛生担当など)へ問い合わせると確認できます。

民間の火葬業者でも合同プランが設けられていることが多く、業者によって価格やサービス内容が異なります。依頼前に複数の業者へ問い合わせ、内容をしっかり確認してから選ぶとよいでしょう。

個別火葬(業者に依頼)

個別火葬は、一頭ずつ個別に火葬してもらい、遺骨を返骨してもらう方法です。手元に遺骨を残したい場合や、納骨堂・霊園へ納める予定がある場合はこちらが主な選択肢になります。

訪問火葬(出張火葬)サービスを利用すれば、専用の車両が自宅まで来てくれるため、外出が難しい時期でも対応しやすい点がメリットです。費用はペットの体重・サイズによって変わることが多く、業者によっても大きく異なります。

費用の目安や具体的な内容は業者公式サイトで確認し、不明点は事前に問い合わせておくと安心です。火葬後の遺骨の取り扱いについても、依頼前に確認しておきましょう。

自宅の庭への埋葬

自宅の敷地内に埋葬する方法もあります。ただし、これには注意が必要です。環境省の動物愛護管理法では、ペットの遺体を「廃棄物」として扱わないよう整理されていますが、自治体によってはガイドラインや条例の定めがある場合があります。

また、飛散・漏出が衛生上の問題を起こさないよう、十分な深さに埋めることや、公有地・他人の土地への無断埋葬は禁止される点なども注意が必要です。自宅敷地内であっても、賃貸物件では管理規約の確認が先決です。

不安な点がある場合は、お住まいの自治体の担当窓口や獣医師への相談を通じて確認するのが確実です。

火葬の種類返骨主な特徴
合同火葬(自治体)なし費用を抑えやすい。遺骨は個別に戻らない
合同火葬(民間業者)なし費用比較的安め。業者によって内容が異なる
個別火葬(民間業者)あり遺骨を手元に残せる。訪問対応の業者もある
自宅敷地内への埋葬自治体や賃貸条件を事前確認が必要
  • 返骨を希望するかどうかが火葬方法を選ぶ最初の判断軸になる
  • 自治体の公営火葬は費用が安めだが、返骨なしの場合が多い
  • 個別火葬は訪問対応の業者もある
  • 自宅への埋葬は自治体・賃貸条件の確認が必要
  • 費用・内容は業者の公式サイトや窓口で最新情報を確認する

ペットが亡くなった時の手続き――犬と猫では違いがある

火葬の手配と並行して、法的・行政的な手続きも進めておく必要があります。ペットの種類によって必要な手続きが大きく異なるため、自分のペットに当てはまる内容を確認することが大切です。特に犬を飼っていた方は、期限のある法的義務があります。

犬の死亡届は30日以内が義務

飼い犬が亡くなった場合、狂犬病予防法第4条の規定に基づき、死亡後30日以内に死亡届を提出することが飼い主に義務づけられています。提出先は、犬の登録をした市区町村の担当窓口(保健所・動物愛護センター・市役所の生活衛生担当等)です。

提出の際は、犬の鑑札(登録の証明書)と狂犬病予防注射済票(注射済みであることを示す証明書)をあわせて返納し、窓口に用意されている死亡届出書に必要事項を記入して提出します。自治体によっては公式サイトから様式をダウンロードできる場合もあるため、事前に確認しておくと窓口での手続きがスムーズです。

鑑札や注射済票を紛失している場合でも、死亡届自体は提出できることが一般的です。手元に証明書が見当たらない場合も、まずは窓口に相談してみましょう。届け出を済ませると、犬の登録情報が抹消され、翌年以降の狂犬病予防注射の案内が届かなくなります。

マイクロチップ登録をしている場合は変更届が必要

2022年6月の改正動物愛護管理法の施行により、犬や猫にマイクロチップを装着し、環境省の指定登録機関に情報登録することが一定の場合に義務化されました。マイクロチップを登録している犬・猫が亡くなった場合は、登録情報の「死亡」への変更手続きを行う必要があります。

手続きは環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトからオンラインで行うことができます。登録時に発行されたID・暗証番号が必要になるため、登録証や登録完了メールを事前に手元に準備しておくとスムーズです。

猫やその他のペットには法的な死亡届義務はない

猫やうさぎ、鳥などのペットについては、犬のような法律上の死亡届出義務はありません。そのため、マイクロチップ登録をしていない場合、行政手続きとしては特に何も提出する必要がない、というケースも少なくありません。

ただし、自治体によっては独自にペット霊園や火葬の案内、または飼育条例上の届け出制度を設けている場合もあります。心配な場合は、お住まいの自治体の窓口やホームページで確認しておくと安心です。

ペット保険・サブスクサービスの解約も忘れずに

ペット保険やペットフードの定期購入、ペットホテルの会員サービスなどに加入していた場合は、解約の手続きも必要です。多くの保険会社では、死亡日や火葬証明書(あるいは死亡診断書)の提出を求められることがあるため、契約していた保険会社のマイページや電話窓口で必要書類を確認しましょう。

自動引き落としのまま放置してしまうと、気づかないうちに保険料や会費が発生し続けてしまうこともあります。気持ちが落ち着いてからで構いませんので、契約していたサービスを一通り見直しておくと安心です。

  • 犬は狂犬病予防法に基づき、死亡後30日以内に死亡届の提出が義務
  • 提出時は鑑札・注射済票をあわせて返納する
  • マイクロチップ登録済みの犬・猫は、環境省のオンラインシステムで死亡の変更手続きを行う
  • 猫など犬以外のペットには法的な死亡届義務はないことが多い
  • ペット保険や定期購入サービスの解約も忘れずに行う

火葬後の供養方法――手元供養からペット霊園まで

火葬を終えたあとは、遺骨をどのように供養するかを考える段階に入ります。供養の方法に決まったルールはなく、ご家族の気持ちや住環境に合わせて選ぶことができます。代表的な方法をいくつか紹介します。

自宅での手元供養

骨壺のまま自宅に安置し、仏壇やペット専用の祭壇に置いて供養する方法です。最近では、遺骨の一部を小さなカプセルやアクセサリーに納める手元供養グッズも増えており、形を変えて身近に置いておきたいという方に選ばれています。

ペット霊園・納骨堂への納骨

ペット霊園や納骨堂に遺骨を納める方法もあります。個別墓地として管理してもらえるプランや、複数のペットと一緒に祀られる合祀墓など、霊園によってさまざまなプランが用意されています。料金やプラン内容は施設ごとに異なるため、事前に問い合わせて確認しておくとよいでしょう。

自然に還す散骨という選択

近年は、海や山などに遺骨を撒く「散骨」を選ぶ方も増えています。散骨を行う場合は、専門の業者に依頼することで、場所選びや手続き面でのトラブルを避けやすくなります。地域によっては散骨に関する独自のルールが定められている場合もあるため、事前の確認が大切です。

どの方法を選んでも、正解・不正解はありません。ご家族みんなが納得できる形で、ゆっくり時間をかけて決めていただければと思います。

まとめ

ペットが亡くなった直後は、安置・火葬・供養・手続きという4つの段階を順番に進めていくことになります。まずは死後硬直が始まる前に体勢を整え、保冷剤を使って安置すること。そのうえで、合同火葬・個別火葬・自宅埋葬のなかから、ご家族の希望に合った火葬方法を選びましょう。

犬を飼っていた場合は、狂犬病予防法に基づき死亡後30日以内の死亡届が必要です。マイクロチップを登録している場合は、環境省のシステムでの変更手続きも忘れずに行いましょう。猫やその他のペットには法的な届け出義務がないことが多いものの、マイクロチップ登録やペット保険の解約など、確認しておきたい点はいくつかあります。

火葬後の供養方法は、手元供養、ペット霊園への納骨、散骨など、ご家族の気持ちに合わせて選ぶことができます。どの方法であっても、大切な家族との時間を振り返りながら、納得のいくお別れの形を見つけていただければ幸いです。

本記事の内容は、公的機関・業界団体・獣医師監修情報・事業者の公式情報などをもとに整理したものです。火葬・供養・手続きに関する実際のご判断については、ご利用の事業者や各自治体の最新情報を必ずご確認ください。ペットの症状・治療・投薬・ケアに関しては、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。